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上野の山にて

今から半月ほど前。
フィレンツェに行くよりは近いと(電車一本)、会期終了間際に上野へ行った。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ――天才の実像」

ざっと1m×2mの「受胎告知」は正直「ふーん」。
暗いし遠いし、あの警備と防護だから本物だと思うだけで、多分複製でも分からない。
それ以外の絵画は正真正銘の複製。
そもそも、ウフィツィにあるのが「受胎告知」と「東方三博士の礼拝」と「キリストの洗礼(一部)」だけなのだから、致し方ない。いいのは(悪)名高きルーブルや大英博物館がちゃっかり所有しているし。

というか、実は恐ろしく作品が少ないのだということを改めて知る。

展覧会の主眼は「大量のメモやら素描やらから窺える天才の姿」なので、絵画がなくても別段構わないんだけど、地味だもんね。(一応「受胎告知に才能の萌芽が」という流れ)

眼で見て手で描くことで、あらゆる現象を解明・理解・表現しようとしたレオナルド爺さん。世界や人間の成り立ちを追求する執念は「芸術」というよりむしろ「科学」。
メモに基づく模型が多数あったので凡人は理解を助けられたけれど(いや見ても解らない物もあったんだけど)、爺さんは多分描いた時点で三次元的に見えてるんでしょうね。

爺さんの貴重なメモ書き、ほとんどは国家単位で所有していると言うのに、レスター手稿は唯一の個人蔵。持ち主は

ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ。

――もう、どんだけ?

(調べたら2005年の別の展覧会の目玉だった。もう国内では見られないだろう)
レスター手稿本邦初公開

土産にレオナルド印のジャンドゥーヤを買って出ると、外はやはりフィレンツェではなく上野だった。

たまにしか訪れないせいだと思うけれど、上野の山は何となく居心地が悪い。あのだだっ広い公園が何だか浮世離れしている。少し東に浅草、南に神田・御徒町の賑わいが、西には芸大やら東大やらがあるというのに、山の上は寂しい。混雑している道がある一方で、誰ともすれ違わない道がある。緑に囲まれた感じといい、巨大な霊園に墓参りに来ているような。

元々上野の山丸ごとが寛永寺の境内だったと言うから、さほどずれた印象ではないかも知れない(江戸の鬼門を守るという役目は、今は東洋館の仏像達が担っているのだろうか。考えてみれば博物館も物の墓場だ)。徳川家の菩提寺でもある寛永寺は大変に栄え、有り余るお金を大名に用立ててさらに増やしていたとか。

栄華を誇った名刹が何故影も形も無いのかといえば、140年前の上野戦争の戦場だったから。馬の森理世みたいな(最高に美しいという意味です)スフォルツァ騎馬像の鋳造も戦争でぱあになり、レオナルド爺さんの作った粘土模型はフランス軍に破壊されたのだった。
ホントに戦争って。

その上野戦争で勝った方は、犬を連れた銅像になっている。
負けた方は緑陰からその背中を見続ける。

帰宅してつい読み耽った彰義隊スケッチ。

合葬 合葬

著者:杉浦 日向子
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さらにレオナルド爺さんと北斎爺さんが似ているような気がしてこれも読む。

百日紅 (上) 百日紅 (上)

著者:杉浦 日向子
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持っている杉浦本を全部読んで、気づいたら真夜中だった。

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