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いまさら「英雄本色」 Part I

「英雄本色(男たちの挽歌、A Better Tomorrow)」の全体の記事がどうにもこうにもまとまらないので、気付いたこと(分かっていたつもりで分かってなかったこととか)を部分的に。ネタはいくつかあるけれど、シリーズにならないで放置の可能性も大。

えー、周潤發に惚れぬ者はいないだろうというこのシーン。

ホーさんをはめてマークに銃撃される人、日本語喋ってたんですね。知らなかったよ(あるいはすっかり忘れてしまって、かつて知っていたかどうか定かでない)。

「じゃんけん、ぽん!」
「お前、そのコと野球拳そこでやれ!」
「いいから飲め」

とか言ってます。

香港映画の中で聞く日本語としては、流暢でまともな部類(香港人がカタコトを話す時もあるので)ですが、……じゃあ彼の設定は台湾在住日本人極道なの?

個室内に椅子がなく座卓だったりとか、障子(カーテンもあるのはなぜだ)がはまってたりとか、床の間っぽい所に日本刀が飾ってあったりとか、楓林閣はお姉さん付きなんちゃってジャパニーズレストラン。変なアルミ鍋はしゃぶしゃぶ鍋ですかね。
台湾だからそういう(日本統治時代の)和風な施設が残っていて、日本趣味の現地人が利用しているようにずっと思い込んでおりましたが、あらためて見るとどうもそうじゃないっぽいし、彼自身も実は哈日族で「日本語できてオシャレ~」とも考えにくい。

悪い奴はいつも日本人という伝統的な設定でしたか、ウー先生。

そう考えると、なるほど先の宴会でのセリフも、狡猾でスケベな日本人という型を表現するのに合致した内容です。お座敷遊びと言えば野球拳(ホントか)、なかなかGJなポイントを押さえています。

香港黒社会の顔役ホーさんをだましうちするという汚名を、台湾人に着せたくなかったのでしょうか(劇中でマークに「台湾は恐ろしいぞ」とか言わせてるのに……あ、日本人がいるから?)。そして、日本人など使ってホーさんを蹴落とした腐れ外道、とシンを思い切り悪役にしたかったのでしょうか。

この事件現場である楓林閣に出動し、その後もホーさんの出所から香港での行動をラストまで執拗に追い続け、やたらいいシーンに無表情で出まくっている、いぶし銀の台湾刑事ことジョン・ウー先生の意図やいかに。

さて、このシーン(の冒頭、周潤發がお姉さんといちゃついているシーン)のバックに流れている曲、映画で初めて知った者には「マークの愛と復讐の挽歌」とか「ユンファ撃ちのプレリュード」としか思えないのですが、「免失志」という福建語(閩南語)の歌謡曲だそうで。

http://jp.youtube.com/watch?v=qXAiOHE6s4w
画面からすると傷心女性の歌?ロケ地が日本っぽいです。

http://jp.youtube.com/watch?v=s-WP6NoWa9g
歌詞と関係あるのかないのか、ダンサーに唖然。

http://jp.youtube.com/watch?v=Sus7kk_xKks
ますます分からなくなる「免失志」……

本来の位置づけとしては往年のラブソングというこの曲をこのシーンに持ってくる演出、日本の70年代ドラマに近い部分があるようにも感じられます(ただ台湾っぽくしたかっただけではあるまい)。まあその辺の影響がどの程度あるのか、そしてウー先生がどれだけ日本嫌いかつ日本好きなのかは置いといて、とにかく名シーンであることには間違いありません。

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コメント

>>本来の位置づけとしては往年のラブソングというこの曲をこのシーンに持ってくる演出、日本の70年代ドラマに近い部分があるようにも感じられます(ただ台湾っぽくしたかっただけではあるまい)。

ああ、わかるわかる。要するにアレですね、特捜最前線とかGメンなどで、誰かが盛り場を彷徨いたりパチンコ屋でヒマを潰してるときに、生音として小柳ルミ子とか森昌子とかピンクレディーがかかったりするような感覚ですかね(笑)。

今ではDVD化の絡みとかもあって、仲々ドラマの中でアリモンの流行歌を流すというのがやりにくくなってきてはいますね。実写版セラムンでも、月9のパロディでクイーンの楽曲を使ったのをDVDで差し替えたりしてますし。

いやまあ、そういう古臭いことをする監督は一人しかいませんが(木亥火暴!!)。

投稿: 黒猫亭 | 2008年8月29日 (金) 19時25分

たぶん仰せの通りの感覚だと思います、少々たそがれた感じの……。的確な表現が見つからず、ちょっと誤魔化し気味に書いてしまいました。補足して頂きありがとうございます。

ウー先生が影響を受けたと言われている東映ヤクザ映画なんかも確かめてみるべきかなあと思いましたが、さすがにそんな元気はありませんでした。

一方、中華圏の人の受け取り方は実際のところどうなんだろうとか、興味は尽きません。

ところで「そういう古臭いことをする監督」が素で分からないのですが……。あの、黒猫亭様お気に入りの方でしょうか?

投稿: 604 | 2008年8月30日 (土) 15時03分

>604さん

>>ところで「そういう古臭いことをする監督」が素で分からないのですが……。あの、黒猫亭様お気に入りの方でしょうか?

真剣ではないけれど時々眩しく光る、ギャラクシー賞を受賞した某老監督のことです(木亥火暴!!)。

投稿: 黒猫亭 | 2008年8月30日 (土) 19時36分

「ギャラクシー賞受賞 監督 禿」で検索しましたが分かりません……despair

投稿: 604 | 2008年8月30日 (土) 21時40分

>604さん

あーもーしょーがないなー、ネタを振った手前、振り逃げというのもアレなので、格好悪いけどネタばらしをします(木亥火暴!!)。

佐藤健光監督ですよ。

投稿: 黒猫亭 | 2008年8月30日 (土) 23時20分

野暮で申し訳ございませんcoldsweats01
「セーラームーンact.29」のことだと分かるまでおそろしく時間が…お恥ずかしい。

まとまったページのない方で、色々調べましたが見たことのある作品は記憶(←これが怪しいわけですが)にある限りゼロでございました。

黒猫亭様の別サイトを拝見すれば一番早かったかもwobbly

投稿: 604 | 2008年8月31日 (日) 11時12分

>604さん

いえいえ、こちらこそなんか手前味噌なネタを振ってすいませんでした(笑)。実写セラムン界隈では、佐藤監督と謂えば野暮な年寄りの代名詞ですから、劇伴遣いなんかもいろいろとアレですねぇ。

延々脇道に逸れ続けたので、この辺で本題の話も少ししておきますと(今更かい(笑))、この映画が製作されたのが八六年ということですが、日本の感覚で謂えば、「免失志」の台湾ポップスらしい強烈な六〇年代臭がやっぱり凄いですね。

バブルの頃でそれかよ、というツッコミを入れてもしょうがないわけで、或る意味では八〇年代だろうが二〇〇〇年代だろうが、台湾ポップスの普遍的な根っこの部分に、歌謡曲テイストがあるわけですよね。

友人に中華迷が一人いて某台湾出身の大スターのファンなので、時々リアルタイムの台湾の楽曲を聴かされるんですが、今でもやっぱり、最新の音楽トレンドを採り入れつつも、背骨の部分に「昭和歌謡曲」的なムードを保持しているのが台湾ポップスの特色でしょうか。

投稿: 黒猫亭 | 2008年8月31日 (日) 13時24分

どこかのスパイのように博学な黒猫亭様、台湾の歌謡曲にもお詳しいとは!

台湾ポップス全体がそのような特色を持っているなら、結構取っつきやすい、というか体質に合いそうです。

そう言えばアメリカ生まれだか育ちだかの台湾人歌手、王力宏くん(←「ラスト、コーション」で覚えました)の楽曲が、「先端と伝統とをミックスした」と評されていたのを今思い出しましたが、なるほどその「昭和歌謡」的テイストが台湾においては不可欠なのかも知れませんね。

投稿: 604 | 2008年8月31日 (日) 17時32分

ちなみに、この映像はオリジナルではなくて日本語吹き替え版です。おそらく、昔テレビとかで放送されたものでしょう。よく聴くと声優の声って感じがしますね。。オリジナル広東語版ではもちろん日本語は一切聴けません。舞台が台湾だから広東語じゃなく中国語で話をすることはありましたがね。

投稿: 小男人 | 2008年12月13日 (土) 07時15分

小男子さん、コメントありがとうございます。

ああ、そうだったのですか!日本語版というものの存在があったのですね。周潤發が喋っていないのと、台湾人だから日本語ができるのかも知れないと勝手に思い込んでおりました。

自分が持っている字幕版ビデオでも先日のNHK-BS2の放送でも、どうも日本語が聞こえた風ではなかったので変な気はしていたのですが……、余り深く考えていませんでした。

しかし日本人が吹替えたにしては、訛り加減が絶妙で大変いい味を出しているなあとhappy01

ご親切に教えて頂きましてありがとうございます。なにぶん記憶が古く誤解も多いかと思います、またご指摘頂ければ幸いです。

投稿: 604 | 2008年12月13日 (土) 10時57分

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