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生きるのが辛い大人のための「パコと魔法の絵本」

「パコと魔法の絵本」 公式サイト

お子様向けファンタジーかと予想しておりましたが、とんでもない、思いっきり大人向けの物語でありました。でもお子様が見ても全く差し支えないし、充分楽しめると思います。

ポップでカラフルな3DCGや主演の女の子の可愛さheart01で、ついtulip楽しそうtulipに見えますけれども、この映画では登場人物のすべてが生きる辛さ、苦しさ、痛みを抱えており(まあ舞台が病院で登場人物のほとんどが患者だからある意味仕方がない)、みな滑稽なまでに弱く、所在無く、悩んでいます。

しかし!

切なさにしんみりと泣く暇もなく、死ぬほど笑わされるんだこれが。

どうしてくれる阿部サダヲ!

……いや、最初から最後まで良かったのですよ、阿部サダヲ氏が。今回のこの役は史上最高にツボりましたgood
大体、彼がとある巨大な屋敷を訪ねてくるところから始まるんですもん、このお話。もしかして真の主役は彼?!(いやただの狂言回しだとは思うんだが、こんなに美味しいとこを掠めとる狂言回しも珍しいかと)

何故か多勢のおばさんがタヒチアン・ダンスを踊っている(怖い)1階正面玄関を抜け、階上に住む目当ての人物と会う阿部サダヲ。階上の部屋は「おもちゃ箱をひっくり返したような」と言えば良いのか、貼られたポスターや置かれた物から住人はどうやらアニメおたく。コスプレをしたままグーグー眠っている仲間らしき人物も2人ほどいる謎の部屋。

サダヲの目的はその部屋にある役所広司の遺影と遺品。部屋の主にその思い出を語る形で本編が。

役所さんの形がまた、「クリスマス・キャロル」のスクルージかはたまた「リア王」(と言うよりは「乱」って感じ?)かと。一人でシェイクスピア劇を始めそうな勢いです。発声とかね。舞台衣装みたいなガウン引きずってるしね。

役所さんに限らず、何となく見た感じが舞台っぽく見えましたが、サイトによるともともと戯曲が原作なのだとか。そっちは全く知りませんが、その雰囲気を残す意図か。

話がテンポ良く進む中、次々登場するキャストが脳髄を引っ掻き回します。

強面國村隼氏(オカマ)rougeは「ラブイズオーバー」と「魅せられて(←ジュディ・オング様の往年のアレ)」を歌い踊り

実力派上川隆也氏(医師)は嬉々としてピーターパンshineやシンデレラboutiqueの格好(上は白衣)をし

好青年妻夫木聡君(元子役)は「エクソシストshock」の女の子の如く狂乱して暴れまくり

――と、皆さん何かから解き放たれたような演技。最高です。

物語はというと、役所さんの意地悪ジジイが、一日しか記憶を留められない少女に、彼女のお気に入りの絵本(そのタイトルが「ガマ王子対ザリガニ魔人sweat02)を劇にして演じてやるというお話。

自動車事故で両親を亡くした少女パコちゃんは、一命は取り留めたものの記憶が一日しか持たないので、毎朝7歳の誕生日を迎え、母親から贈られた絵本に喜び、絵本を読み始めるのです。永遠に同じ日を繰り返すその姿が無邪気であるだけに、切なくて胸が痛むのですが……阿部サダヲのブザー攻撃で笑っちまうんだよ!

面倒なのでネタバレになるので細部は省略するとして、役所さん・阿部サダヲに並んで妻夫木君も出色だった。
人気者だった頃の映像が幻覚となって現れ、常に精神を苛まれている元子役という設定が痛々しい(大人になるとなんで男は気持ち悪くて女は!と、子役上がりの実在する女優の名前を口走ったりcoldsweats01)し、劇ではザリガニ魔人に抜擢され、演技に悩んだり逃げたりした末開き直ったその姿が(ジーン・シモンズ様のようで)またアブナイ。

終盤、心臓発作に襲われながらも、少女に物語を最後まで聞かせてやりたいとガマ王子を演じ切った役所さんは、まるでドン・キホーテshine。あくまで格調高いと言うか大仰と言うか。

そして、予想もしていなかった人が死を迎え(病院だから誰が死んでもおかしくないんだがズルイ)、少女と傷ついた大人たちが束の間奇蹟のような時を過ごしたことに、どっと涙がこぼれ落ちたところで……阿部サダヲが締めるんですよ。

あらすじだけ追うと暗くて辛くて重たい話なのですが、見終わった後はかなり晴れやかな気分sunで、これは登場人物と共に物語に癒されたのか、それとも単純に泣いたり笑ったりの効用なのか。何となく最近こういう作り(重い話とお笑いと、半々くらいが交互に、みたいな)の物語が流行っているようにも思われます。

その笑いのテンポとポップで明るい不条理感が、何となく「マカロニほうれん荘」に似ているような気がして(まあそう感じたのは地球上で自分だけだろうがgawk)、個人的に非常にツボったのでした。
だから、もしこの映画の監督が「マカロニほうれん荘」を阿部サダヲ氏のきんどーさんkissmarkで撮ると言うなら、許してもいい(←何様)。

とか思いながら流れるクレジットを見ていたら。

貫地谷しほり」……?って、どこに出てたんだあああ!
(彦摩呂は見たんだけど。もしかして、あのセリフなしの?)

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